各ギヤ比の差を近づけたトランスミッションのこと
クロスミッションとは、トランスミッションの各ギヤのギヤ比の差が、標準のミッションよりも近いギヤを組み合わせているミッションのこと。レシプロエンジンでは、エンジンの回転数の上昇に合わせてトルク&パワーが高まっていくが、ある回転数以上になるとそのトルク&パワーは下降していく。
そのトルクカーブ、パワーカーブの頂上付近の一番力が出ている「おいしい部分」をトルクバンド・パワーバンドという。モータースポーツなどで、できるだけこのパワーバンドの回転数をキープできるようにするのがセッティングのキモとなる。
そこで重要になるのがギヤ比の選択。ギヤ比は数字が大きくなるほど、力強さが増すが、同じエンジン回転数での速度は低くなる。
ノーマルのミッションは、荷物満載の坂道発進まで考えた1速から、高速道路での燃費を重視した5速、あるいは6速が設定されていて、2~4速はつながりがいいように、上手にギヤ比の間隔が開けられている。これは当然オールマイティで使いやすいのだが、サーキットなど走るステージを限定した場合、話がちょっと変わってくる。
例えば、あるコーナーの立ち上がりで、2速だとエンジンが吹け切ってしまい、かといって3速では回転数が落ちて、上記のパワーバンドを外してしまい、加速が鈍ってしまうというケース。
こうした場合、2速のギア比を3速に近づけ、3速はより4速のギア比に近づけると、シフトアップ時に回転数の落ち込みが減って、パワーを有効に使いやすくなるというわけだ。こうして、各ギアをクロース(接近した、近い、僅差の)させたミッションを、クロスミッションという。
具体的には、ノーマルミッションだと、7000回転のときに、1速で55km/h、2速で95km/h、3速で135km/hだったのが、クロスミッションを入れると、同じ7000回転で、1速=65km/h、2速=90km/h、3速=120km/hといった具合になる。ちなみにクロスミッションには、全段クロスさせるものと、1~3速など一部のギア比だけ変更するタイプがある。
また走るステージによって、 (1)各ギヤをトップギヤに近づけるケース(高速サーキット等)
(2)2速3速をローギヤに近づける方法(ワインディング、ジムカーナ、ミニサーキット等) がある。
(1)は、ゼロヨンやタイトコーナーなどは、やや不得意で、ハイスピードエリアはよく伸びる。
(2)は、ワインディングやテクニカルなコーナーは得意だが、高速道路の巡航などは、回転数が高くなり、燃費も悪く、最高速は伸びない。
そういう意味で、万能なのはやはりノーマルミッション。クロスミッションは、一得一失のトレードオフのあるポイントを攻めたチューニングメニューだ。
(文:藤田竜太)
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?